ヤフーニュースを見た方も多いと思いますが、高級洋菓子のヨックモックさんが中東でバカ売れしています。
5月にテレビ東京の「未来世紀ジパング」でも取り上げられていました。
缶商品を沢山使っていただいているヨックモックさんは、缶業界にとっては非常に明るいニュースだと思います。
やはり中身も抜群においしいですけど、なんて言ったってこのデザインと缶だからこそ高級感も出るし消費者の方々は喜ぶのではないでしょうか!
以下、ヤフーニュースで取り上げられていた記事を貼り付けさせていただきます。
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☆誰しも一度は口にしたことがあるであろう有名なお菓子が、アラブ首長国連邦(UAE)で飛ぶように売れている。そのお菓子とは、デパ地下でよく見掛けるヨックモックだ。
ヨックモックという名前にぴんと来なくとも、さくっとした歯触りが特徴の、葉巻を意味するクッキー「シガール」なら知っているという読者も多いのではないだろうか。国内ではデパ地下を中心に180以上の店舗を展開しており、贈答品やお土産でもらったり、贈ったりした経験もあるはずだ。
同社がパートナー企業と組んでアブダビに初出店したのは2012年10月。最初の1年こそ店舗運営も手探りで遅々とした歩みだったが、軌道に乗った後は出店を加速。2年を経た現在、2014年5月にドバイに出店した店舗で11店目を数えるまでになった。UAEの1番店は、日本国内180店舗の1番店と同程度の売り上げを記録しているという。
■ 販売価格は日本の2.7倍
もっとも、為替相場の影響もあるため、販売価格は日本の2.7倍という高価格になっている。だが、人口差を考えたとき、UAEでの売れ方の勢いがわかる。同国の総人口は約830万で、そのうち80%を外国人が占めている。
その外国人もインドやパキスタンなどの南アジア出身者、近隣のアラブ諸国や東南アジアの人たちといった出稼ぎ労働者が中心なのだ。つまり、ヨックモックの実質的な購買層は残りの20%、160万人程度しかいないことになる。この160万人という数には乳幼児まで含むため、日本の人口でいえば1億2000万。購買人口の差にして75倍もの開きがあるにもかかわらず、同程度の売上高を上げていることになる。
「予算という概念はないのか、というような買い方なんですよね」。ほほ笑みながら語るのは、今でもたびたびUAEに飛び、現地店舗の指導、教育を行う同社海外事業グループの髙橋達也グループ長だ。同じものを100個、200個という注文はざら。あるときなどは、見栄えがするよう大きく豪華な皿に山ほど盛りつけたお菓子を指して、「皿ごと欲しい」と言われたこともある。
国内で用意できるものには120個というものもあるが、それとて1缶18~24個入りの缶を6個詰め合わせたもの。単品でもっとも大きいのはシガール56本入りというものもあるが、それではとうてい間に合わない。とにかく買い方が豪快なのだ。
さらにヨックモックの人気を裏付けるのが、8番目に出したドバイ店舗だ。出店した先はドバイ・モール。総面積が111.5万平方メートル、屋内フロアだけでも55万平方メートルという世界最大のショッピングモールだ。
出店したい企業を記したウェイティングリストには、常時300社以上が名前を連ね、出店するだけでも1つのステータスになるという。
■ なぜアラブ人に人気なのか
UAEの1人当たりGDPは6万4000ドルを超えており、日本の約4万7000ドルを大きく上回る(2012年、ジェトロ調べ)。医療、教育が無料で、住宅も安価に購入できるため、消費意欲が非常に旺盛な国民として知られる。欧米のラグジュアリーブランドの進出も多い。
ドバイは世界の主要小売店の進出数で、ロンドン、パリ、ニューヨークに次ぐ、世界4位の多さという調査結果もある。外国人居住者を含め、ブランド志向、高級志向が極端に強い一方で、富裕層も中間層もブランド価値を認めない製品に対しては、価格に厳しいという。高いだけでブランド力がなければ無視されるのだ。
そんな中にあっても、進出してわずか2年の間に、11店まで店舗網を拡充し、さらにドバイ・モールにまで出店できたのは、きちんとブランドを確立できていることの証拠だ。
実は、中東に赴任する商社員や石油会社の社員にとって、ヨックモックは貴重なお土産だったという。イスラムの戒律もあるため、持って行く日本土産はことのほか気を遣う。また、アルコールをたしなまないこともあり、甘いお菓子を好む人が多いという。
- かといって、日本で人気のあるまんじゅうやようかんなど、あんこ(豆)を使った和スイーツは逆に不人気。日本人が海外に行って甘い味付けのコメを敬遠するように、UAEでは甘い味付けをした豆はウケがよくないからだ。その一方で、労働は自国内の外国人に任せ、自らは働かない・動かないという要因も加わり、2011年時点でほぼ5人に1人が糖尿病にかかっている。罹患率も世界第2位に達するほどの不健康な国でもある。その反動か、日本の甘さ控えめで上品な味が好まれるという背景もある。中東の裕福な家庭では、子息を米国に留学させることも多い(娘は1人で海外へ旅行に出すことすらない)。ヨックモックは20数年前から米国にも進出しているが、米国でヨックモックを知って、ファンになったというエマラティ(生粋のUAE国民)も多い。富裕層も上流になるほどヨックモックの認知度が高くなるという、不思議な構図ができあがっているのもそのためだ。そのようなエマラティは、来日するとシガールなどヨックモック製品を数十カートン単位でまとめ買いをして帰っていたという。2012年にUAEに進出したきっかけは、現地のパートナー企業からの熱いラブコールに応えたという面もあるが、「数年前から何件も(共同で出店しないかと)お声がけをいただいていた」(髙橋氏)ことも大きいという。つまり、UAEに進出する前から、富裕層に人気が出るという土壌があったのだ。■ 「焦らずじっくり出店」
実際、アブダビに初めて店舗を出したとき、接客に立った髙橋氏が顧客の婦人に「いかがですか」と話しかけたところ、店側の人間とは思わないその婦人に「アナタ、この繊細な味を知らないの」と、逆に商品を勧められた。
「今後も出店数ありきではなく、ヨックモックの持つ雰囲気、手渡し販売という文化をわかっていただける地域に、焦らずじっくり出店していきたい」(髙橋氏)
UAEは言わずと知れたイスラム教徒の国。食品に関してはイスラム教の教えにのっとった「ハラル」が前提になるなど、宗教に関して曖昧な日本人には理解が難しい面も多い。だが、ヨックモックの躍進は、そのような異教の地でもいい物は受け入れられ、売れる物は売れるという証しなのかもしれない。